第7章

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さすがは、年の功とでもいうべきか……。 怪しい匂いを直ぐに嗅ぎとっている。 このままでは嘘の鎧が剥がれ落ちるのも時間の問題……。 私はスゥッと息を大きく吸い込み、姿勢を正した。 「挨拶が遅れ失礼致しました。私、恭哉さんの部下で秘書の蒼井 陽路と申します。日頃、会長を始め結城家の皆々様には大変よくして頂き感謝しております。」 「ほぉ……。そうですかっ」 「本日は恭哉さんに仕事のご相談がありまして……。その際、こちらに立ち寄る用があるとの事で。……突然の訪問お許しください。」 適当にそれっぽい言葉を並べて一礼。 ここまでしてバレたら、それはそれでどうでもいいと思っていた。
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