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私の目の前が暗くなった瞬間、恭哉は後ろから私の腰に手を回して咄嗟に抱き寄せた。
階下からこちらに上って来る人物がいた事に、私は全くといって気が付いていなかったのだ。
「前見ろよ。危なっかしい奴だな……」
「ごめん……、ありがと」
耳元でふぅっと安堵の息を漏らした恭哉にそう言ってから、私は慌てて前方に向き直った。
すんでの所で、衝突を免れた人物の両手には視界を遮る程大きなリボンが巻かれた箱。顔は確認出来ないが、その下からデニムを履く長い足が見えていた。
──この人も、レオの友人だろうか……
そんな事を思いながら、私は声を掛けた。
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