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第17章 #2
「送ってく……。つか、何時……」
「えっと……、六時ちょっと過ぎ。送って行くって……、車も無いのにどうやって」
「ああ……、そうだった……」
重そうに上半身を起こしかけた恭哉だったが、しまったとでもいうように額に手をあてて脱力。再び体をベッドに投げると天井を仰いだまま、動かなくなった。
「…………寝たの?」
私はシーツにくるまりながら、恐る恐る恭哉の顔を覗き込んだ。が、彼の腕が邪魔をして思うように確認出来ない。
第一、今の会話だって意識がハッキリしていたのかも怪しい所だ。
それでも誠意だけはなんとなく伝わった。それだけで……、今の私には十分だ。
「遅刻したら許さないからね」
小さく呟き、彼の小指にキスを落とす。その場所からほんのりと伝わる体温が心地好くて……、私まで眠くなってしまいそう。
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