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第19章 #2
「………………」
三回も連続で身体を交えれば、さすがの私も戦意喪失。精も根も尽き果てたとは正にこの事で……、微睡みの中、私は恭哉の胸板を背もたれ代わりにグッタリと項垂れていた。
「……重たい」
「レディに向かって失礼ね」
「でも、不思議と嫌じゃない。これはこれで落ち着く」
「っ…………それは、良かったわ?」
先程から私の髪を撫でる事をやめない恭哉の体が一瞬グラリと揺れた。何事かと思い、振り向き掛けた私の首筋に……
「え……?」
背中側から彼が巻き付けたのは、黒生地のチョーカー。ゴールドの華奢なチェーンの先にぶら下がる小さなリボンが私の鎖骨をくすぐった。
「何よ、コレ……」
「最初に俺が選んだプレゼント。でも、副社長に見られて……“ヒロの趣味じゃないだろう”って、バッサリ。悔しかったけど……、アンタの事よく知ってんのは向こうだしさ……。俺は可愛いと思ったの。なんか、猫みたいで……良いかなって」
「……待ってよ。さっきも思ったんだけど……、どうして誠さんが私へのプレゼントのアドバイスなんかっ……」
「まぁ……、要は全部お見通しって事なんじゃないの?」
私との関係を断ったのも、私の気持ちの変化を見越しての事だった……?恭哉の結論は的を得ているような、いないような。どっちにしてもやっぱり……私が分かりやすい人間である事にはかわりない訳で……。
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