第20章

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───『本日は結城リゾート本社勤務。広報担当の蒼井さんにお越し頂きました。どうぞ、よろしくお願いします』 『宜しくお願い致します』 『さっそくなんですが、蒼井さん。来年の四月にリニューアルオープンされるという目黒区のホテル。実際、どの辺りが新しくなるんでしょうか?』 『はい。この度、結城リゾート目黒では“上質、かつゆとりのあるプライベート空間”をテーマに外装、内装共に一新致しました。世界的に有名な家具メーカーreversensとの協力の元、各部屋には滝 大五郎先生デザインのインテリアが……』──── 厚手のコートが手離せなくなった十二月、 社員食堂の中央、大画面のテレビには先日、都内の某局のスタジオで収録したばかりの映像が流れていた。 キャスターの質問に流暢に答える私は、黒の地味なスーツを身に纏いながらにこやかな表情。 「上出来、上出来。」 ウンウンと、自画自賛に頷きながら私は海藻サラダに再び箸を伸ばした。周囲からの視線はもう気にならない。慣れているから。 「何が上出来だ。この、エロ広報が」 「ぐっ……!?」 正面の席に座る恭哉が、苦虫を噛み潰したような顔で毒づく。思ってもみなかった酷評。危うく食事を喉に詰まらせる所だった。 「ちょっと!品の無い言い方やめてくれない?大人の色気とエレガントさを兼ね備え、なおかつ知的要素も十分。これ以上の人材が彼女以外、他にいるかしら?」 「そんなパーフェクトな人間がなんでガーターベルトなんだよ。うちのイメージがた落ちじゃねぇか」 「そ、それは……プロデューサーの人に『足からのパーンが欲しい』って言われたから仕方無くよ……」
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