最終章 #2

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「どうした、何か問題か?」 そこに、追い討ちを掛けるよう奴が現れた。時間が止まったこの世界で、唯一鮮明に聴こえるその声。不思議と痛みは感じなかった。 「あっ……、恭哉さん!お疲れ様です!」 「…………ご苦労さん。」 慌てて振り返った志摩くんが、姿勢をピンっと伸ばして頭を下げた。眼鏡のレンズ越し、志摩くんの向こう側。睨むような眼差しが、私を捉えている。 あの日のボロボロな彼とはまるで別人。 髪型や、スーツ一つで人間がこうも変わるか……。 なんて、現状ボロボロな私が言う事じゃないけど。 「……お疲れ様です。」 「ああ。」 ジワリ、目の奥に熱いものが込み上げた。 こうして面と向かい合うのは、あの最悪なクリスマスの夜以来。 喜びにも似た複雑な感情が、私の体を駆け巡る。恭哉はとっくに“過去”として受け入れているのに……。 もう、いっその事消えてしまいたい。
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