317人が本棚に入れています
本棚に追加
「……志摩。お前の持ち場はここか?」
「いや……、違います。でもっ……、ヒロさんが」
「人の心配している暇があるなら、自分の仕事をしろ。正直、お前は最近たるんでる。」
「す、すみません……。」
相変わらず嫌な男。態度はデカイし、いっちょまえにふんぞり返っちゃって生意気だ。
「それと、マスコミ陣への応対は気を付けろ。この混雑だ……、タチの悪い奴等も紛れ込んでいるかもしれない。幹部の連中には絶対に近付かせるな。任せたぞ?」
「は、はい。」
でも、悔しいな……。それでもカッコいいって思っちゃう。恭哉と過ごした日々の中で、彼の良い部分も沢山知った。
幸せで、ゆっくりと流れる優しい時間が確かにあった。
孤独を恐れ、居場所を追い求めていた私を、見付けてくれた。
人を愛するという気持ちを教えてくれたのは───
「ヒロさん?」
「は、はい!?」
気付けば志摩くんが目の前に立っていた。眉を潜め、不安そうな表情で。
「僕は戻りますね。あの……、あまり無理をなさらずに。ヒロさんに元気が無いと……し、心配で……」
「志摩ぁ!!何度も同じ事を言わせんな!!」
「は、はいぃ!!では、失礼します!!」
最初のコメントを投稿しよう!