12.再会

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「でも、私は…ここで… ここまで育ててくれたこの場所で…」 ずっと一研究者として…。 いろいろな感情が入り交じって、上手く言葉にできない。 それほど、私にとってこの研究センターは特別なのだ。 「ここで何ができる?」 適当な言葉が思い浮かばず、何も言えずに俯いていると、センター長は口を開いた。 咄嗟にセンター長を見上げる。 「ここは上(本社)から企画された薬品の開発を目指すところだ。 言わば、指示通りに動くだけの部門としかいえない」 「でも、それは…!」 「君の言いたいことはわかる。 僕らの部門は患者さんへ薬が渡るまでのプロセスで外せない部門。 しかし現にルーチン化している点は否めない。 上から来た仕事を引き受け、完了したと思えばまた別の案件。 同じ畑の中で言われた仕事をぐるぐる繰返し行っているだけだ。 そんな小さな世界で、君は満足できるのか?」
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