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暗闇から、絶え間なく聴こえてくる絶叫。耳を塞ぎたくなるような、悲鳴の数々。
うるさい。やめろ。もう聴きたくない!!
それでも意に反して、悲鳴は何度も何度も脳裏に木霊する。
「うるさい!!」
少年は怒声と共に、目を開いた。
しかしそこにあったのは……。
全てが血塗られた、暗黒の世界。
大地は全てが漆黒に覆い尽くされ、所々で煌々と揺らめく灯火は、すぐ近くで全てを呑み込む様に燃える炎の海。
自分はその直ぐそばに佇む枯れた廃木に、小さくもたれ掛かっていた……。
瞳に映る炎を、ただ漠然と--
少年は、ハッと目を覚ました。
不意に何が起きたのかわからなかったが、深く被ったフードから僅かに見えた緑色の景色で、現実へ引き戻されたことにようやく気がつく。
--まだ消えないのか、この景色が……
緑色の景色--即ち大地に芽吹く植物達は、少年に取って忌むべきものでしかない。
醜い現実を、この世界に、自分がまだ居るということの証でしかないから。
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