プロローグ:雨降る夜に

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・・・・・・いらっしゃいませ。 外は雨が冷たかったでしょう。ヒーターのよく当たる奥から三番目のカウンターへどうぞ。 ああ、一番奥のお客様はお眠りになっておりますので、起こさないよう多少お気を配られて戴ければ幸いです。 それにしても、このような寂れた小さなBARへようこそいらっしゃいました。 今宵は貴方で二人目のお客でございます。 どなたかのご紹介ですか? ・・・さようですか。 「話が面白いBARがある」と聞いて「今夜は何となく眠れないから来てみた」と。 そういうことでしたら私もおしゃべりですので、喜んでお話しさせて戴きますよ。 ただし。 私のお話は「幽霊話」でございます・・・・・・実話の、ね。 苦手でしたら止めておきますが・・・・・・お好きですか、わかりました。 そうそう、お話し中に飲んで戴くカクテルは、私が選んでお勧め致します。 話の途中に注文を受けたりしますと、どうしても話の腰が折られて面白味が欠けてしまいますのでね。 その代わりお代のほうはだいぶ勉強させて戴きますのでご安心を。 それでは、まずは軽くモスコミュールでも飲んで戴きながら、 最初のお話とまいりましょうか・・・
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