1人が本棚に入れています
本棚に追加
この病院も古い病院でしてね。
小さな非常灯だけが足元を頼りなく照らす病棟を、懐中電灯ひとつで歩いて回る・・・というのは、慣れるまでは怖いものです。
懐中電灯もひとつしかありませんでしたから、先輩看護師が持って歩く後を、新人看護師が張り付くように巡回していたんです。
そんな感じで見回っていると、暗い廊下をゆっくりと歩いてくる影がありました。
認知症の方が病室を抜け出したのか?と思った先輩が懐中電灯を向けると、その人は病棟に長く入院しているおじいさんでした。
その人は身寄りがないので老人ホームがわりに入院しているような、高齢ではあってもしっかりされた方で、どうもトイレに行った帰りらしく、足取りもしっかりしていましたので部屋まで送る必要はないだろうと思い、新人は軽く会釈してそばを通り過ぎました。
けれどすれ違ったあと、先輩がまっすぐ前を見ながら一言、小さく言いました。
「後ろ、見ちゃだめよ。・・・今の人、今朝亡くなったから」
申し送りで言っていた「××さん、今朝永眠されました」の言葉を思い出し、新人は体の震えが止まらなかったそうです・・・・・・
このお話は以上です。
この新人看護師がその後どうなったかというと・・・・・・現在はどうかわかりませんが、私が病院を辞めるまではまだ働いていましたね。
結局、このような目にあっても頑張れる看護師だけが、こんなキツイ仕事続けられるんですよねぇ・・・・・・
白衣の天使って、仕事中の反動かプライベートはきっつい・・・いえ、強い性格してる人多いですからね。
それこそホワイト・レディのように、白く気高く、酸いも甘いも噛みしめて、見た目以上に強い・・・というところでしょうか。
さて、次は何のカクテルにしましょうかねぇ・・・・・・
最初のコメントを投稿しよう!