三杯目:フローズン・ダイキリ

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5日連休の真ん中、三日目の夜。 夜中にシモの世話をするための目覚まし時計をセットして、看護師は床につきました。 何時間眠ったのかはハッキリしません。 ふいに夜中、目が覚めたそうです。 まだ目覚ましが鳴ったわけじゃない事を確認した看護師は、なんかモヤモヤした気持ちを抱えながらももう一度眠ろうとしました。 この時、ちょっとお祖母さんのいる部屋へ通じるフスマに目を向けたんです。 すると、フスマがちょっとだけ空いてる事に気が付きました。 眠る前にお祖母さんの部屋に入った時に閉め忘れたかな、と思い、何となく気になるので閉めようかどうしようか布団の中で考えていると・・・ そのフスマの隙間から、誰かの目がジッ・・・とこちらを見つめている事に気が付きました。 床から30センチ程の高さで、まばたきもせず見開いたような目がジィ・・・っと。 最初、寝ぼけた頭でお祖母さんかと思ったそうですが。 隣の十畳以上ある部屋の真ん中で寝ていた、自分ひとりでは寝返りもできないお祖母さんが、フスマ近くまで近づくことなんて出来るわけがありません。 それに気づく間も、30センチの高さで「目」はジッ・・・とこちらを睨んでいます。 看護師は怖くなり、布団を被ってガタガタと、その「目」の主が部屋に入ってこないことを祈りつつ震えていたそうです。 しばらくして、急に目覚まし時計が鳴ったので、慌てて反射的に止めました。 夢だったのかと思いフスマを見ると、もう「目」はありませんでした。 ・・・フスマの隙間はそのまま、空いていたそうですが。 ・・・このお話には更に続きがあります。 目覚ましの後、お祖母さんの部屋に入ったんですよ、彼女。 夢だと思い込もうとしてたみたいですし、シモの世話とか、片付けなきゃいけないことはキッチリこなさないと気の済まないタイプでしたから。 やっぱり、部屋の真ん中でお祖母さんは寝ていました。 ・・・いえ、ちょっと違いますね。 部屋の真ん中で、冷たくなっていたそうです・・・・・・
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