全く。

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全く。

某、18禁の映画に出てくる、格好いいはずの青ジミと切り傷を縫ってある、険しい面持ちの悪魔つき人形。 そいつの名は知っている。 昔の持ち主に似ているせいか、悪魔も、じっと何かを感じ取っていた。洞察力というその目で。 しかし、ふと見てみると、今まで、宿っていた魂の炎がふと消えたかと思うと、なにもない、傀儡の人形に早変わりした。 家に帰って、ビスクドールを見てみると、何だか、殺しそうな目で相変わらず見ている。かわいいのだが、こやつは、気分屋だからなぁ。 それはいいとして、さっきの人形? 神棚に祈りを捧げ、真夜中、いつもどおり目が覚めた。これも誰かに牛耳られているのだが、慣れた。呪いに慣れるのは、簡単ではない。相手を信頼し、相手に殺されそうになりながらも、優しい気持ちでいようとする気持ちが、呪う側の良心に呼び掛けるのだ。そう、呪う相手を間違え、殺してはならないのだと。これは、人間で在るのならば、必ずあろうものであろう。鬼は人を変える。 つまり、私に全てを受け入れろと?何とおぞましか。呪いぞ?1日分の呪いならば、神棚の神様がなんとかしてくれる。が邪念とは、いと、しつこいものよ。
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