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「そんな言葉聞いてる暇あるなら、何故あさひを助ける努力をしなかった?!
あさひは…お母さんはお前が殺したのも同じだ!」
運転手の男性は雛を庇うように美鶴に立ちふさがった
「お父さん、どうか娘さんを責めないであげて下さい!
娘さんは何も悪くありません!
全ての責任は運転していた私です!」
「父さんも鷲も落ち着けよ!
雛だって被害者だろ!」
「お兄ちゃん」
激昂する美鶴を長男の梟が諫める
「雛、今回の事故…お前は悪くないのは知ってる…
でもな、父さんの言うことも尤もだ
何で助ける努力をしなかった?
お前くらい体が大きいなら、力も体格相応になるはずだ
…そこだけは、お前を許せない」
「ごめん、ごめんなさい…」
こちらに目線を向けず言う兄に見えぬよう、雛は手に巻かれた包帯を隠した
帰宅してからも、4人が言葉をかわす事はなかった
考える時間が欲しかった
落ち着く時間が欲しかった
各々が自室に籠もり泣いていた
余命いくばくならば覚悟はしていただろう、だが事故という突然の死だ
誰一人として、そんな予測はしていなかったからだ
「…」
深夜、梟と鷲は雛の部屋に向かっていた
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