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「雛、起きてるか…?」
梟は雛の部屋をノックする
だが返事はない
聞こえるのは寝息だけ
「寝…てる…?」
「あの子、全然傷ついてないの…?」
目の前で母親が死んだにも関わらず、雛は平然と寝ている
「お母さんが死んだ事何とも思ってないのね…!」
梟は苛立ち扉を勢い良く開ける
「…え?」
「雛…?」
雛は床に倒れるように寝ていた
どうやら筋トレをしていたようで、足元に鉄アレイが置いてある
だが、それよりも目が行ったのは妹の血まみれの両手だった
血が滲み過ぎてわからないが、良く見ると手には包帯が巻かれている
「ケガ…?
今朝はなかったぞ…」
「学校から帰って来た時もなかったわ…」
そう言って二人はまさか、と同時に呟く
もしや妹は事故の時、母親を助ける努力をしていたのではないか?
この両手はその時のケガではないか?
よくよく考えれば、トラックを一人の人間が動かせる筈がない
ましてや、妹はまだ小学生
身長なんて関係ない
(それなのに、オレ達は全員で雛を責め立てた)
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