雛鳥の罪、雛鳥の罰

11/18
前へ
/20ページ
次へ
冷静に考えればわかる事なのに、一時の感情で妹を傷付けた (こんなに血が出てるのにトレーニングしてたのは、努力が足りないって思ったから…?) 梟と鷲は雛の手の包帯を取り替えた時、彼女の手の有り様に息を呑んだ 彼女の手の平は大量のマメが潰れ固まり、ガチガチだった そんな手の平の中心は抉れており、血が溢れ出していた 「雛…!」 気づかなかった 妹がそれほど努力していた事に いつも身長があるのに怠けて才能を生かさない子、とすら思っていた妹はちゃんと努力していた そんな妹の気持ちも汲まず、妹はどれほど傷ついただろうか 「朝、起きたら…お父さんにも説明して雛に謝ろう」 「そうね… 私達勘違いしてたみたい… おやすみ、雛」 鷲と梟は雛をベッドに寝かせ、部屋を出た その頃、美鶴は家族写真を見ながら頭を抱えていた 「あさひ、あさひ…! 何故…!」 美鶴はあさひを心の底から愛していた 子供達も同じくらい愛していた 最愛の妻が死に、愛する娘が生き残った しかも娘が妻を見殺しにした形で 「いや、ちがう…雛は悪くないんだ…」 頭ではわかっている たが、心は拒絶していた
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加