雛鳥の罪、雛鳥の罰

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「お父…さん…?」 雛は呆然と立ち尽くす 鷲と梟も何が起きているのかわからなかった 自分は兄と姉のすぐそばにいたのに 父の目の前にいるのに 父は自分に気づかない 「な、何言ってるのよお父さん! 雛はここにいるのよ!?」 鷲は驚きに満ちた表情で雛を指さす すると、美鶴は少しの間をおき何かに気付いたのか指さす方向に体を向ける 「ああ、そこにいたのか雛 おはよう」 微笑み雛の方へ歩き、近づいてくる 「お父さ…」 「雛、大丈夫か?怪我はなかったか?」 雛が安堵したのはつかの間だった 何故なら美鶴は鷲が指さした先、雛の後ろにある“誰も座っていないソファ”に話しかけているからだ 「え…?」 雛の顔がどんどん青くなる まさか、本当に見えていないのか? 「梟、こっちへ」 美鶴は梟を廊下へ呼び出す 梟は二人に視線をむけ、隠れて聴くよう促した 雛と鷲は頷き、壁際で聞き耳を立てる 「なんだよ父さん」 美鶴は梟と向き合い、重く口を開いた 「梟、鷲の前では雛が生きている演技をしてあげてくれ」 「は……?」 美鶴の発言に梟は頬をひくつかせる 「どうやら鷲は雛が死んだ事をまだ受け止められないみたいだ まだ中1だ、無理もないか」 「な、何言ってんだよ父さん! 今回の事故で死んだのは母さんだけだ! 雛は生きてる!」
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