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雛は母親を改めて尊敬した
自分より華奢で背も低いのに、それでも受け止めてくれるその姿は誰よりも大きく感じた
いつか、お母さんみたいになりたい。
それが彼女の夢だった
「あのね、雛
好きで大きくなったわけじゃないのはわかるわ
でも逆に小さい人も同じ事を思ってるのよ」
信号が青に変わり、前の車が動き出す
あさひも続いてゆっくりアクセルを踏んだ
「だから、その大きな体を嫌いにならないで
いつか誰かの役に立てる日が来るわ」
「わかった!」
雛は元気よく返事する
あさひも嬉しそうに微笑む
その時、横の車線からトラックが猛スピードでこちらに突っ込んできた
「!」
「あ!」
あさひは避けようとアクセルを踏むが、車に反応がない
このタイミングでエンストしたのだろうか
考えている時間はない、逃げれる時間もない
トラックはすぐそこまで来ている
「雛っ!」
あさひは助手席のシートベルトを外し、運転席と助手席の隙間から後ろの座席に雛を押し込んだ
「きゃっ」
雛の体が後ろの座席に当たった瞬間、耳障りなブレーキ音の直後に衝突音が響いた
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