ぼくらは友達

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子パンダとの追いかけっこに勝利し、駅に着いた私は改札で駅員に止められた。 「あの、お客さん、パンダのご乗車は出来ませんが…」 「え?」 まさかと後ろを振り向くと、そこに、いつの間にか子パンダがいた。 「いや、こいつは私のパンダじゃなく…」 「そのわりには随分なついていますがね、ともかく、電車に乗せる事は出来ません」 なんという事だ、パンダのせいで電車に乗る事が出来なかった。タクシーでの出勤も試みたが、同様の理由で乗車を拒否され、私は足にじゃれる子パンダを恨めしく睨んだ。 もう、会社には間に合わない。とりあえず、遅刻の旨を会社に伝えなければならない。会社に連絡をし、電話口の上司に言う。 「すいません、実はパンダが邪魔をして電車に乗る事が出来ず、遅刻します」 「そうか、わかった。安心してくれ、もう会社に来なくていいぞ。パンダと仲良くな」 そう言うと、上司は一方的に電話を切った。 まあこうなるのは当然である。この世のどこに、パンダに邪魔されたなどという遅刻理由を信じる奴がいるのだ…。私は力なく項垂れ、駅を後にした。 公園のベンチに座り、販売機で買った缶コーヒーを一口飲む。傍らでは、人の苦労を知ってか知らずか、子パンダがゴロンと転げている。 全てはこいつのせいなのだ、こいつのせいで、私は会社での信用を失った。そもそも、一体何故こいつは私の許に現れ、付きまとうのだ。 ふつふつと沸き上がる怒りを抑えきれず、持っていた缶を子パンダに投げつけ怒鳴った。 「いい加減にしてくれ!! 俺が何をしたっていうんだ!! お前なんか、どっかに行っちまえ!!」 子パンダはビクッと私を見上げると、缶の当たった額を触り、とぼとぼと私の前から去っていった。 これで良い、これで私の平穏な日常が帰ってくる。 それから、子パンダが私の前に現れる事はなかった。それまでの暮らしが戻り、時々、あの朝の出来事を思い出すが、きっと子パンダも元気に暮らしているだろう…。image=502718836.jpg
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