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「ただいまぁ。
今日の夕飯、なぁに?」
空の親子丼が空になる頃、能天気な声が響く。
しばらくすると、陸がご機嫌な調子で顔を覗かせた。
「もー、空君聞いてよぉ。
チーフと後輩の子がデキててさぁ、雑用仕事が全部こっちに回ってくるのよー」
そんなことを言いながら、陸は空の肩に手を置く。
空はうんざりしながらその手を払った。
「陸。食事中」
「冷たいー!
いいよもう。陽ちゃんに聞いてもらうから」
・・・
「陽は、まだ仕事があるって言って、病院に戻ったぞ」
「あと『食事はちゃんと摂った』ってさ。実際、食べてたし」
「うん、それは知ってる。
さっき病院の前で会ったから」
何食わぬ顔でそう頷くと、陸はくるりと踵を返す。
「じゃあ、着替えてくるね。
今日は親子丼~」
ご機嫌そうに鼻歌を歌いながら、陸は軽い足取りでキッチンを出て行った。
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