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陸が夕飯を食べ終える頃には空も食後のコーヒータイムに入っており、比較的穏やかな空気が流れていた。
「ごちそうさまー。
黄雨ちゃん、腕を上げたね」
「一度、授業で作ったからですよ」
本職の陸に褒められるのは嬉しいのか、黄雨は嬉しそうに食器を下げる。
「ところでさ」
そのタイミングを見計らって、俺は切り出した。
「?」
「陽って卵食えんの?
アレルギーとか言ってなかった?」
「ああ、その話?」
いつものおどけた様子とはうって変わって、上目遣いの目を向けてくる。
意味ありげなその目に、何故か胸がざわついた。
「その前に、食後のお茶を貰える?
長くなりそうだし、話はそれから」
「コーヒーしかないですけど、いいですか?」
苦笑いを浮かべながら、黄雨がコーヒーを淹れる。
その様子を横目で追っていると、隣の空が冷ややかな目を向けていることに気付いた。
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