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「陽ちゃんは、私達のところに来た当初 全くものを食べなかったのよね。
所謂、拒食症ってヤツ?」
「一度、それで点滴を打つ羽目になったな」
二人は顔を見合わせて頷き合う。
その影響でベジタリアンになったということか?意味が分からない。
「その時、日生ちゃんに怒られたのと私の食事指導で、今は何とか色んなものを食べられるようにはなってきてるけど、今でも外食は苦手みたい」
「カフェくらいなら平気らしいけどな」
「アメリカは日本と違って、医療費高いしね」
置いてけぼりを食らっている俺達をよそに、陸と空は『あの時は大変だった』とすっかり思い出話に花を咲かせている。
「あのさぁ、俺が知りたいのは『何でそうなったか』ってことなんだけど」
苛立ちながらその言葉を吐き捨てると、信じられないものを見るかのような、二人の目線が飛んできた。
「何・・・」
「お前はさ、一から十まで他人に聞かないとそこで何が起こったか想像もつかないわけ?
何で俺達がそこをあえて伏せてるのか、考えもしないわけ?」
「私、陽ちゃんがどうして私たちのところに来ることになったのか、って話はしたはずだけどね。
いちいち何回もしたい話だと思ってるの?それともわざわざ聞いて確認したいの?無神経だし、悪趣味」
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