Bar ムーンライトリバー

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***  月に一度、日曜か土曜の午後に、私の家のインターホンが鳴るようになった。 「はい」 「もしもし、槙さ~ん。あーけーてー」  そう言ってご機嫌な声をあげるのは、私にとっては昔ながらの知人で、今では小姑的な存在の少女だった。 「いらっしゃい、日生ちゃん」  そう言って、私はこの、年の割りに成熟した子供を迎え入れる。 「突撃、お宅訪問のお時間でーす。終わったら、ケーキ食べよう」 「はいはい。ごちそうさま」  ケーキを渡して私の家の一部屋一部屋をチェックする。それはけして気分のいいものではないはずだが、彼女はそれを、不快感を気取らせずにやってのけた。  紅茶でも淹れようかとお湯を湧かしている間、箱からケーキを出し、取り皿に分ける。  紅茶は確かダージリンがあった筈だが、彼女は気に入るだろうか。  紅茶フリークの彼女のために、私は棚から茶葉とティーポットを用意した。
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