124人が本棚に入れています
本棚に追加
***
月に一度、日曜か土曜の午後に、私の家のインターホンが鳴るようになった。
「はい」
「もしもし、槙さ~ん。あーけーてー」
そう言ってご機嫌な声をあげるのは、私にとっては昔ながらの知人で、今では小姑的な存在の少女だった。
「いらっしゃい、日生ちゃん」
そう言って、私はこの、年の割りに成熟した子供を迎え入れる。
「突撃、お宅訪問のお時間でーす。終わったら、ケーキ食べよう」
「はいはい。ごちそうさま」
ケーキを渡して私の家の一部屋一部屋をチェックする。それはけして気分のいいものではないはずだが、彼女はそれを、不快感を気取らせずにやってのけた。
紅茶でも淹れようかとお湯を湧かしている間、箱からケーキを出し、取り皿に分ける。
紅茶は確かダージリンがあった筈だが、彼女は気に入るだろうか。
紅茶フリークの彼女のために、私は棚から茶葉とティーポットを用意した。
最初のコメントを投稿しよう!