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お湯が沸いたので、手始めにそのお湯でティーポットを温める。
それをカップに移し、カップを温めている間に茶葉を用意していると、足音が聞こえてきた。
「槙さーん、終わったよー」
そう言って、私の手元を覗き込む。
「それ、ダージリン?」
「そう。オレンジ・ペコーがなくて、悪かったわね」
「いえいえ、充分デス」
彼女の好きな銘柄を挙げて謝ると、笑って言われた。
「じゃあ、私はケーキを持っていくね。槙さんはどっちがいい?」
「そうねぇ」
彼女が持ってきたケーキは二種類。ガトーショコラとチーズケーキだ。
「じゃあ、ガトーショコラ」
「OK」
嬉しそうに笑うと、日生ちゃんはケーキの載った皿に手を伸ばす。
それを横目で見ながら、私はカップの中の湯を捨て、紅茶を注いだ。
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