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やれやれ
どうせなら、私に火の粉がかからないところで そういう事態になって欲しいものだ、と呆れながらケーキに手を伸ばす。
「で、静流君がどうかしたの?もしかして、綾兄が手を出したりした?あの人、バイだから」
「・・・あー。そういうんじゃないんだけど、その店で麻薬の取引が行われてたらしくてね。ちょっと前に、店にお邪魔したのよ」
彼女はそう言って、紅茶のカップに手を伸ばした。
そんな彼女を上目遣いで見ながら、私も腑に落ちない点があるので、口にすることにする。
「でも、何でそれで日生ちゃんが出てくるの?千葉市の事件なら管轄は千葉県警、百歩譲ってその取引が組織的なものだったとして、担当は厚労省でしょう?」
確か、彼女は警視庁の人間だったハズだ。
その彼女が出てくるのには、相応な理由があるはずである。
その思いを全面に押し出して問うと、彼女はやれやれ、というように肩を竦めた。
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