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階(きざはし)の上がり口で、
萌葱の小袿を着た式が博雅を迎えた。
奥へと誘われ御簾を潜る。
「博雅か。
どうした?」
母屋の文机から晴明が立ち上がった。
「笛の会で近くまで来たから、
寄ってみた」
ああ、
と晴明が博雅を見る。
「懐のものは笛か……で?」
「で、
とは?」
「春花が気になったか」
図星をさされて博雅が少し赤くなる。
「元に戻す方法は分かったのか?」
「分からん」
あっさり言われる。
「俺の呪だけなら解けるはずだ。
戻らないところを見ると、
別の呪も働いているな」
「別の……呪?」
「意思と言い換えてもいい」
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