第2章

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階(きざはし)の上がり口で、 萌葱の小袿を着た式が博雅を迎えた。 奥へと誘われ御簾を潜る。 「博雅か。 どうした?」 母屋の文机から晴明が立ち上がった。 「笛の会で近くまで来たから、 寄ってみた」 ああ、 と晴明が博雅を見る。 「懐のものは笛か……で?」 「で、 とは?」 「春花が気になったか」 図星をさされて博雅が少し赤くなる。 「元に戻す方法は分かったのか?」 「分からん」 あっさり言われる。 「俺の呪だけなら解けるはずだ。 戻らないところを見ると、 別の呪も働いているな」 「別の……呪?」 「意思と言い換えてもいい」
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