第2章

5/17
前へ
/36ページ
次へ
腑に落ちない顔をする博雅に、 晴明が言う。 「つまりだ。 あの形をとったのには、 春花自身の意思が入っているという事さ」 「では戻るには……」 「春花がそうと望めば、 あるいは」 黙り込んでしまった博雅を晴明が横目で見る。 「……そんなに気になるか」 「寄る辺ない童(わらべ)のようで……知らない世界に来て、 勝手の違う身体に入って」 「人間の考えで人間でないものを量るのは危険だぞ」 「分かってる」 真面目な面持ちで、 博雅が言う。 ……分かってないさ、 お前は。 晴明が内心で呟いた。 話が止まったのを見計らったように、 先ほどの式が酒と肴を運んできた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加