第2章

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「蘇(そ)か」 「貰い物だ。 お前、 甘いもの好きだろう?」 ああ、 と嬉しそうな顔になる博雅を晴明が笑って見やる。 しばらくはそうやって盃を交わしていたけれど。 陽が落ちて露が降りてきた庭に仰向けになったままの春花を見て、 博雅が溜息を落とした。 「笛を吹いてくれないか」 気分を変えようとでも言うかのように、 晴明がねだる。 「月が昇る。 久しぶりにお前の笛が聞きたい」 にこりと笑った博雅が笛を出す。 いつでもどこでも、 楽器を奏でるのは彼にとって最大の喜びだった。 「今日の笛の会で唐渡りの珍しい楽譜があった。 新しい曲もいくつか覚えてきたから、 それを吹こう」
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