第2章

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「天竺のまた向こう、 西方より伝わってきた曲だと聞いた」 春花が博雅の脇に跪く。 「止めないで……続けて」 童女のようなその瞳で請われて。 博雅がまた笛を取り上げる。 哀愁を帯びた異国の音色が流れだした。 春花の瞳が閉じられる。 そう……この振動……旋律に覚えがある。 花であった時は理解できなかった出来事が、 ひとの身体を持ったことで、 再構築され記憶として甦ってくる。 ……そう、 これは。 あのひとが吹いていた曲だ。 その音がたゆたう空気の中に居るのが、 とても心地良かった。 高く伸びる音が心を揺らし、 低く響く音が身体を震わせる。
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