第2章

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失われていく生命の波動を、 どうしようもできなかった悔しさ。 「……私は、 ひとに、 なりたかった」 ぽつりと朱唇から言葉が零れる。 あのひとを守れる腕が―――身体がほしかった。 博雅の膝に伏せた頬を涙がほろりほろりと伝っていく。 晴明がそっと部屋を出て行くのにも気づかずに、 博雅は繰り返し繰り返し笛を吹き続けていた。 「……春花?」 楽を奏でる陶酔から博雅が覚めた時。 彼が見つけたものは、 自分の膝に頭を預けた春花の安らかな寝顔だった。 当惑したものの起こすのも忍びなくて。 頬に伝う涙の跡を拭おうとした指が躊躇って握りこまれる。
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