15人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう……やめろっ」
「なぜ?お前の為にやってるのに」
しれっとした顔で言う晴明を博雅が睨みつけた。
「……ッあ、
あ」
足をさする手に力をこめられて、
博雅が大きく喘いだ。
「……博雅」
その手がゆっくりと上に登ってきて膝頭を撫で上げる。
博雅の目元に朱が刷かれた。
次の瞬間。
どんがらがっしゃん!と派手な音がして。
真っ赤な顔をして広縁に勢いよく出てきたのは、
博雅。
背後では几帳ごと蹴飛ばされた晴明が倒れている。
博雅の足元が今ひとつ定まらないのは、
まだ足の痺れが完全にはとれていないかららしい。
朝露のきらめく庭に向かって、
膝を抱えた春花が簀子に座り込んでいた。
足音も荒く出てきた博雅を見上げる。
最初のコメントを投稿しよう!