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「オイ、起きろ!目を覚ますんだよ」
いつの間にか、あのひとがあたしのホッペをパチパチたたいていた。
そう、あたしは死ねなかったんだ。
にんにくのニオイをプンプン撒きながらもうろうとするあたしを あの人はホテルの一室に運ぶと
「オマエ、ほんっとバカだな、大丈夫やから気にすんな」
胃せんじょうを繰り返しながら、あの人はとうとつに切り出した。
「オレが、キレイなカネで遊んでると思うてたんか?あのな、オレはアクニンだよ」
キョトンとするあたしにいつもの笑顔で語りかけるあのひとの言葉がスッと胸におさまっていくのを感じた。
そこから、あのひとの行動は実に素早かった。
あたしを連れて店に行き、外で待つよう指示すると ものの五分で店を出てきた。
「オマエさ、今から自由だよ。オレが部屋借りてやるから そこに住めばいい。何も心配すんな、シャッキンもチャラだからさ」
とっぴょうしもない言葉に目を回すあたしを連れて、不動産屋に行き部屋を借りてくれた。
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