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一年の間、少ないお小遣いを貯めて買えたのは、ナックル
少ないお金でも買える武器のために、格闘技を練習した
打ち込む早さ、力の強さ、足腰の動き
我流だったが、大人を驚かせるほどに強くなった
そんなある日、街が魔物の集団に襲われた
容易く家を壊し、呆気なく人が食べられ、死んでいく
孤児院の先生は隣りの街に、強い傭兵がいると言って、私を走らせた
その傭兵の戦い方は、いつか見た彼女の物に近い
私もその噂を聞いていた
藁にもすがる思いだった
私は走った
魔物に襲われたが、なんとか切り抜けた
全身ボロボロで街に着くと、忘れられない彼女の後ろ姿
私は泣いて懇願した
傭兵だからお金が無い私の依頼は受けてくれない
そう思ったのも一瞬
彼女は快諾したのだ
条件も何も言わずに
ふと見えた、自嘲気味な彼女の笑顔の理由は、今でもわからない
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