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「うああわああ!」
悲鳴を上げながら佐藤武は飛び起きる。
「今の夢……」
嫌な予感を払拭する為、秋葉千絵にメッセージを入れる。
スマホの時計を見ながら待つが、返事は来ない。
夜中だが思い切って電話を入れるが、出ない。
「何だよ、早く出ろよ。寝てるのか?」
そうだよ。あんな事があったんだ。
疲れて着信音にも気付かないほどぐっすり寝ているんだ。
そうに決まっている。
電話を切り、あの山小屋の噂を検索する。
昭和初期、あの山小屋は狩人やきこり達の仮宿だった。
ある日、六人の学生が山小屋でお互いを殺し合った。
その後、その小屋に泊まった者は自分が殺される夢を見て、その夢の通りに殺される。
これが様々ある噂の共通する概要だった。
殺し合いの原因は、恋愛のもつれ、いじめの復讐、財宝や高価な山菜の取り合い、霊に取り憑かれた、精神が病んでいた、と様々な説がある。
ありふれた都市伝説。
週末皆で楽しむ為に、いつもと同じ様に選んだ都市伝説。
「そう、都市伝説だよ」
何を真剣に悩んでるんだ、俺は。
偶然、藤堂が殺されて、そのショックで同じ様な悪夢を見ただけだ。
そう否定はしたが、それから一睡も出来ずに夜明けを迎えた。
日が昇っても秋葉千絵からの返事はない。
もう一度電話をするが、出ない。
家まで行って確かめようと外へ出ると、二人の警官がインターホンを押そうとしている所だった。
「おや、お出かけですか?」
「……はい。何か?」
「どちらへお出かけですか?」
「友達の所へ」
「友達?お名前は?」
「秋葉千絵と言いますが」
二人の警官が顔を見合わす。
「その秋葉千絵さんですが、今朝、遺体で発見されました」
「はああ!?」
「その件でお話を聞かせて欲しいのですが、署までご同行願えませんか?」
「あの、どんな殺され方だったんですか?」
「何故、殺されたと?遺体で発見されたとしか言っていませんよ」
「あ……」
まずい事を言ってしまった。
夢で見たからなんて言っても信じて貰えるはずがない。
疑惑の眼差しを受けたまま、二人に挟まれ同行した。
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