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「まりちゃん、ほら!お誕生日のプレゼントよ~」
「わあー!かわいいお人形!お母さんありがとう!」
私は母から娘への誕生日プレゼントとして、小さな家庭にやってきた。
母子家庭で、裕福ではないが、母子の仲も良く温かい家庭だった。
私を大切そうに抱いてくれたその少女は、今日3歳になったばかり。小さくて可愛らしい女の子だ。
「お名前つけてあげなくちゃだね。お人形さん、どんなお名前がいい?」
まりは私に名前をくれた。人形売場に並んでいた頃には、自分が名前を持てるなんて考えもしなかった。
私の名前は『リマ』。
まりが自分の名前を逆読みしてつけてくれた。
いい名前だ。私はリマ。今日からまりが私のご主人様だ。この子が笑顔でいられるように私は頑張ろう。
「リマちゃん、ここがあなたのおうちよ。わたしがいないときはここでいい子にしててね」
私がもらった家は小さな段ボール。広くはないが悪くもない。
どこか温かく、人形売場の綺麗でだだっ広いガラスケースの中よりも居心地が良かった。
私はまりと遊び、夜になると箱の中で休む。明日、まりが箱を開けてくれるのが楽しみだ。
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