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「そうなの?!」
「一々驚いてくれて、嬉しいよ。
お父さんは、数年前に、仕事中倒れて、それ以来、療養のために、ずっと休職してたんだ。
今回さ、社長が、会長に就任するから、体調が良くなってるお父さんに、頭下げて戻って来てもらったの。もちろん、ただって訳じゃないよ…。」
「なるほど、それで社長ね。それで、小早川専務は?」
「元が、お父さんの右腕だからね。必然的にサポート役として、副社長だよ。
副社長を狙ってた門倉常務は、退職するんだってさ。」
「えらく、あっさり諦めたんだな。」
「深く詮索しない方が、身のためだと思うよ。」
「ふ~ん、大人の事情ってやつか。わかった。藪はつつかねぇよ。」
「うん、それがいいよ。佐野は、一応、異動の発表は、見てきた方が、いいと思うよ。」
「おう、そうするわ。じゃあ、また、後でな。」
「うん、また、後で。」
答えながら、佐野の背中を見つめて、佑樹は思った。
知らない方が、幸せなこともあるんだよなぁ…。
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