273人が本棚に入れています
本棚に追加
「…夏蓮。夏蓮。」
誰かが、私を、呼んでいる。
「ううん…だぁれ?」
佑樹が、私を下から覗き込む様にして、呼んでいた。
どうやら、私まで、この陽気で、うとうとしてしまって、抱き止めたはずの佑樹は、滑り落ちてしまい、私の太股を枕にするという図になってしまったようだ。
「…起きた?」
「…佑樹…ああ…ごめん。…私まで、寝てしまったみたいで。」
「構わないよ。先にうとうとしちゃったのは、俺だし、夏蓮、忙しくて、疲れてるだろ。」
「ありがとう。」
答える私に、佑樹は、ニコッと微笑むと、体を起こしてから、振り返る。
「お腹減っちゃったな。そろそろ、夕飯の準備しなきゃ。買い物、一緒に行かない?」
「冷蔵庫の中、何もないのか?」
「あるにはあるけど、大したもの入ってないよ。」
「余分なもの買うのは、無駄使いだから、一応、覗いてから買い物行こう。」
「さすが、夏蓮だな。そう言うところ、きっちりしてる。いい奥さんになれるよ。」
「期待に応えられるように、頑張るよ。」
私達は、軽いキスを交わしてから、立ち上がった。
私達の結婚式まで、後3ヶ月余り。二人の甘い一時だった。
最初のコメントを投稿しよう!