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私達のことを少しばかり話そう。
私は、有栖川夏蓮。歳は…もうじき35歳。
中堅どころの商社に勤めていて、一応、肩書きは、営業部長補佐。その前の年までは、企画営業第2課の課長だった。
さっき居眠りしていた彼氏…梶尾佑樹は、その企画2課の時に、私のところへ配属されてきた新入社員だった。
実を言うと、私は、就活で内の会社へ来ていた大学生の佑樹に、一目惚れをしてしまったんだ。
彼が、入社してくるかどうかなんて、その時は、わからなかったのに、彼を見て、とても惹かれたんだ。だから、直属の部下になって、もう心は、薔薇色。毎日がウキウキしっぱなしだったんだ。
半年我慢した…そして、私は、思い切って告げたのだ。想いのすべてを…。
でも、言葉のチョイスを間違えた。
これは、痛恨のミス。そして、一生、佑樹に、笑い話として語られるネタだ。
『お前、今日から、彼氏な…。』
上司命令だって、無理矢理、付き合いを承諾させようとして、後で文句を散々言われた。
そんな切っ掛けで付き合い始めた私達だけど、佑樹は、私を大事にしてくれたし、私もそれに答えるべく、努力した。
そして、その甲斐あって、去年の12月、結納をして、この5月に式を挙げることになったんだ。
今は、これからのことをいろいろと準備している最中なんだ。
そして、今日も、朝から、式場の打合せに出掛けて、いろいろ買い物をして、帰って来た。
それで、二人とも疲れて、うたた寝をしていたって訳だ。
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