273人が本棚に入れています
本棚に追加
普段の私達は、あくまでも上司と部下だ。会社の中では、出来る限り、ベタベタしたりしないように気を付けてはいる。
だけど、数日、プライベートで会えないことがあると、私が我慢できなくなる。
同じ職場で、上司じゃないのかって?
確かに、広義では、そうなのだが、今、佑樹は、私の一番関わっている2課の所属ではなく、東山が頭に座ってる1課にいるんだ。
東山は、私の3年先輩で、とても有能な人だ。佑樹の将来のためには、こう言う優しさと厳しさを併せ持った人に指導してもらうのは、いいことだと思う。
今の私なら、きっと甘やかしてしまうから、それでよかったと思うんだ。
私は、数年後、社内初の女性部長として、みんなの上に立たなきゃならないんだから、佑樹に、負けないように頑張らなきゃな。
とはいえ、社内で私達のことを知らないものはいないから、イチャイチャしていても、誰も文句は言わないんだが…。
いやいや、ここは、大人として、ちゃんとした立ち振舞いをしなくてはと、日々、周りに気を使いながら、過ごしているわけだ。
その分、休日や夜、二人だけのプライベートな時間は、濃密で甘ったるいものになっている。
今日だって、買い物の後、佑樹の住んでるこのマンションで、二人、体を寄せあって、甘々な時間を過ごしていたんだから。
「佑樹、買い物行かなくても、これだけあれば、なんでも、作れるぞ。そうだなぁ…。炊き込みご飯に、和風のポテトサラダ。それから、佑樹の好きな甘い卵焼きだろ。使い差しの野菜は、和え物だな。確か、ワカメスープあったよな?」
「ワカメスープ?…ああ、流しの棚の左上。小さな缶の中だよ。他にもその手の入ってると思う。」
「えっと…ああ、これだ。」
台所でガサガサやってる私を、佑樹が、ニコニコしながら見ている。
私は、ちょっと楽しくて鼻歌なんて歌っていたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!