もうすぐ、新妻…

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ガチャガチャ 鍵を開ける音がする。 「おかえり!」 私の出来る最高の笑顔でお出迎えする。 「ただいま。夏蓮、来てたの。」 「ああ、部長が、帰っていいと言ってくれたのでな。」 「あれ…今日ってさ、会議あるんじゃないの。確か、部長クラスは、全員出席じゃなかった?」 「そうだよ。だから、種田部長は、それに出ている。 けれど…私は、補佐だからね、まだまだ見習いと一緒だよ。部長が、同席って言わない限り、用なしなんだ。 今日だって、私は、定時に帰れって言われたんだからな。」 私は、佑樹のスーツの上着をハンガーに掛けながら、そう答えた。 「ふ~ん、そうなんだ。てっきり、夏蓮も出席なんだと思ってたからさ。」 「欠席どころか、出席しろとも言われてないよ。まあ、そのおかげで、こうやって、佑樹のところへ来れているんだけれどな。」 ネクタイを緩めながら、佑樹は言った。 「どうあがいたって、君は、俺達の上司だからさ。俺の立場じゃペコペコ頭下げなきゃならないじゃないか。だから、君が、下っぱだって言われても、ピンと来ないな。」 「…そうか?」 「そうだよ。でも、見方を変えたら、君も同じなんだね。役付きになったらなったで、更に上の上司の顔色見なきゃならないんだから…。 本当に大変だよね、サラリーマンってさ。」 「そうだな。確かに大変だ。」 私は、答えながら笑っていた。 「なんで、笑ってるの?」 「私も、何年間か前までは、佑樹みたいに思ってたんだろうなって考えたらさ。笑えてきたんだ。 さあ、もうこの話は終わり。 今日は、佑樹の好きなハンバーグを作ってみたんだ。」 「えっ!ハンバーグ!すぐ、着替えるから、待ってて!」 ものすごい勢いで、着替えてる佑樹が、すごく可愛くって、私は、クスクス笑ってしまった。 ああ、今、私は幸せだ。
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