1.絶世の美女?とちんちくりん

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 まず『鈴本芽衣子』という可愛らしいのかシワシワなのか微妙なラインの名前。  それに合うような平凡な典型的日本人顔。化粧はしない。髪も肩まであるのを適当にブラッシングしただけ。  身長152センチのちび、デブではないがメリハリのない体型。パーカーやトレーナーにジーパン、スニーカーが常。  ええ、華やかさの欠片もありません。何をどうしたって。  でも好きなことは出来てるし、これが一番楽。だから無問題なのだ。それなのに……。 「…………」  周囲がざわつく中、必死で顔をあさっての方へ向ける私。冷や汗垂らしながら素知らぬ顔。 「どうしたの、メイコさ……」 「今他人のフリをしているのです、声かけは無用……」  友人の言葉を遮りつつ。あの人が通り過ぎたのをそっと確認。  目に写るは美しい後ろ姿。良かった、気付いてない。  心の中でガッツポーズをし、気付いてないうちに立ち去ってしまおう。
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