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そうしようとした瞬間、キャンパス内を闊歩していた足が止まった。
嫌な予感しかしない……それは見事なまでに的中。
こちらに振り向き、真っ直ぐ前を見ていたその目は私の方へ。
「……あ」
瞳までもが美しい……じゃなくて。
ヤバイ。恐らく私の姿は視界に入っている。そう思ったら血の気が一気に引く。
こうなったら、やることはただ一つ。
「恵里菜さん……」
「はい?」
「私、勝手ながら敵前逃亡開始いたします。再会は講義の時で。それじゃ」
低音かつ小声で一緒にいた友人に告げる。敬礼ポーズという余計なアクション付きで。
そして、直ぐ様走る構えをとり、脳内でよーいドンとスタートの合図をしてその場を走り去った。
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