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……ところが。
「……あれ?」
一、二歩進んだだけでその場から動けなくなってしまった。
プラス、首根っこを掴まれているような感覚。恐る恐る後ろを振り向くと。
「つーかまえたっ」
不敵な笑みを浮かべたあの人が私の着ているパーカーのフードをがっしり掴んで立っていた。
ヒールのある靴を履いているのに数メートル先にいた私の元にそれこそ秒の速さで来るとは。
まるで獲物を見つけた肉食動物。まぁ、エモノとケモノで間違いないけれど……。
とにかく、もう逃亡することは不可能。ギリギリと音がしそうなくらいに掴んでいるし。脱ぎ捨ててもいいが後が恐ろしい。
フード付きの服を着てきた自分を呪うしかない……ああもう、私のバカ。
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