40人が本棚に入れています
本棚に追加
「……私は先生のこと、好きになります」
自分を守るために、そんなことを云う宮野が悲しかった。
けれど俺もそれに縋った。
失うよりも側に置いて守る方がずっといい。
たとえ、そこに気持ちなんてなくても。
宮野に抱かないのか聞かれたが、抱く気などさらさらなかった。
そういうことは、宮野が本気で好きになったやつとするべきだ。
こんな、仮の関係ではなく。
なのに泣きそうな顔でさらに続ける。
「やっぱり私は穢れてるから嫌ですか……?」
腹の底まで重く沈んだ言葉。
口先だけできれいだとは云えなかった。
抱いて欲しいかと問えば、首を横に振る。
なら抱かないだけだと答えると、安心したかのように頷いた。
抱いて欲しいと請われればきっと、なにもかも忘れるほどに抱いただろう。
それが、宮野の望みならば。
夜中、悲鳴……というよりも絶叫で目が覚めた。
最初のコメントを投稿しよう!