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「あーっ、あーっ!!!!」
宮野は壊れたおもちゃのように絶叫を吐き出し続ける。
ぎゅっと強く抱きしめたところで止まらない。
本当に宮野が壊れてしまいそうで、怖くなって唇で口を塞ぐ。
意識を逸らせようと必死で求めると、おとなしくなった。
そのうち、身体から力が抜けて、崩れた。
唇を離すと、焦点の合わない瞳で俺を見上げてくる。
「大丈夫だ、俺が守るから」
小さな子供に戻ったかのように、くすんくすんと泣きながら、指をしゃぶる宮野を抱きしめる。
何度も、何度も、額に、瞼に、安心させるように唇を落とすとそのうち眠りに落ちていた。
……これが、宮野の抱えているもの。
底知れぬそれに、どれだけ絶望したかわからない。
それからしばらく、宮野を家に置いていた。
一応、宮野の家に連絡を入れたものの、よろしく頼むと云われ、身の回りのものを入れたボストンバッグを渡されただけだった。
宮野が俺と離れることを嫌がるから、たびたび遅刻しているのに学校からもなにも云われない。
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