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きっと、事情は知っているはずなのに。
少しでも宮野がつらそうな顔を見せると、蕩けてしまうまでキスして忘れさせ、とことん甘やかせる。
こんなこと、宮野のために……自分のためにもならないことはわかってる。
いつまでも続けられないことは知っていながら、ずぶずぶのぬるい関係にいつまでも浸っていたい、そう願っていた。
ひと月ほど過ぎたころ、宮野が学校に行ってみようかな、などと云いだした。
止める権利もないし、連れて行ったものの、やはり冷静でいられなくて興奮した宮野に、すぐに後悔した。
しばらく人のこない数学準備室にいさせ、昼休みに連れて帰る。
宮野はずっと黙ったまま、堅い顔をしてる。
出る際、キスしてやったけどそれでもまだ。
教室では親友だった大塚と云い争うことになったし、俺がいないあいだに、宮野が心を寄せていた明石が数学準備室に来ていたことも知っている。
このきまぐれな登校が宮野の中でなにかが変わるきっかけになったのか、次の日から少しずつ、生活が変わっていった。
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