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「あやまらないでください。
私だって誰かに守って欲しくて、そんな先生の気持ち、利用しただけなんですから」
ああ、そうか。
宮野は知ってて、利用されてくれたんだ。
なにかがすとんと落ちた。
俺はきっと、ずっと前から宮野自身が好きだったんだって自覚した。
……なら。
ちゃんとした人生を、再び歩き出そうとしている宮野の傍に、俺はいるべきじゃない。
実家に行って机の引き出しを開けると、あの日しまったネックレスと手紙がそのまま出てきた。
今まで読まなかったことを詫びながら封を開ける。
そこには黙って逝くことを詫びる言葉と、ただ死ぬ直前まで俺の笑顔を見てたくて、云えなかったこと、そして俺のことを案じる言葉ばかり。
……なんだよ、それ。
おまえが笑ってて欲しいと願えば俺はずっと笑ってたよ。
そんなに俺、頼りなかった?
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