始まり

11/11
前へ
/11ページ
次へ
ちょうどその時、先生が教室に入ってきた。 みゆ「帰りに話そう」 みゆは雪に、ボソリと呟いてそのまま前を向いてしまった。 なんだかんだで、放課後になった。 帰りのホームルームが終わった途端みんなが一斉に帰り、教室の中はすぐに静かになった。 静かな教室には、雪とみゆがいた。 みゆ「雪、今日の休み時間賢治君と何話してたの?」 みゆは、とても心配そうに雪に聞いた。 雪「んーとね。なんか賢治が吉岡さんの事好きになったみたいなのよね~。あ、賢治から口止めされてたんだっけー?まあいいや」 雪は、へらへらした口調でへらへら笑いながら話した。 みゆ「雪!いいんだよ?無理しなくて。辛いんでしょ?もう教室には誰もいないし、無理に気をはらなくてもいいんだよ?」 みゆは、とても力強く雪に言った。 雪は真剣な眼差しをみゆにむけられ、みゆの目を見ているとだんだん顔の力が抜ける。 雪(もういいや) 雪はそう思った瞬間、自分でも信じられないくらいの涙が溢れた。 雪「もう、もう、わからなくなっちゃったよ… ずっと、ずーーっと賢治の事好きだったの… なのに、よ、吉岡さんに取られちゃいそうで それで…」 雪はしゃくりあげながらみゆに話す。 みゆは雪の背中をずっとさすりながら、うんうん、と話を聞いていた。 気がつくと、外は薄暗くなっていた。 雪はすっかり落ち着きを取り戻していた。 みゆ「もう大丈夫そうだね?」 雪「うん、いっぱい泣いたらすっきりした。 私なりに頑張るね!」 雪はニコっと笑いみゆに言った。 みゆ「うん! 頑張れ! もう外も薄暗くなってきたしそろそろ帰るか!」 みゆは、そういうと鞄を持って雪と帰っていったのだった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加