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藍が生まれた虹の聖夜
目を開けると、そこにはまばたきの間にモノクロームに変わった僕の部屋が広がっていた。
視覚情報の制限が始まったらしい。
窓の外は雪のようだった。
文字が雪のようだった。
腕の中で眠っていた彼女を揺り起こし、僕は外へとさそった。
「わがままな旦那さま」
そう言って彼女は目をこすり、甘やかな時間の余韻を楽しむかのように、ゆっくりと身じたくをした。
彼女の肌も瞳も、目に映るもの全部がモノクロに見えた。
すべてが再生される始まりは、すべてが消えることから始まるのだなと、世界の端と端のくっつく瞬間を想像した。
「虹のクリスマスですね」
屋敷の廊下から窓の外を眺めながら、まだ色が見えているらしい彼女が言った。
きみと同じ景色を見ることは、もうできなくなってしまったみたいだ。
声を出すことができなかった。
ひどくもどかしい。
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