おまえに言いたい事がある。

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   食事中に見ていた天気予報が、理解不能でふざけたヤツだったんだ。俺、茶碗持ったままポッカーンと呆れてた。  日本の地図の上に居座っているのは、兜と鎧を身に着けている厳つい顔のオッサン。『冬将軍』のイラストらしいんだけど、眉毛が1時50分の針みたくつり上がってて激おこアピールしてんのよ。  で、俺が激怒した。  だってさ、こんな脅しのイラストを幼稚園児とかちっちぇーガキらが見たら『お空から怖いオッサンが降ってくる』って泣いちゃうだろが。只でさえ極寒がやってくるなんて妙に心細いのに、なんでわざわざ視聴者をビビらせてんだよ天気予報。  ムカついたね。  これは俺にケンカを売っている。    よし、ならば来いや冬将軍。お前には負けねえと、闘志メラメラしてしまったんだ。冷静に考えりゃいいのにそんときゃまだ中学2年生、反抗期真っ盛り。その頃の俺はというと、いっつも何かにつけては敵なる存在をみつけ、お前には負けねえっていきがるバカだった。  でもなあ、自然現象に刃向かってどうすんの。弁慶の立ち往生よか酷かったかもしんない。もうね、全身に極寒の矢が深々と刺さったね。『寒い』って『痛い』。一気に大軍引き連れてやってきた冬将軍はやっぱり強かった。無理、まじで無理って震えたね。夜なのにさ、強がってジャージ上下で待ち合わせに行った俺は真性のアホだった。
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